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表具修復

更新日: 2005年7月11日

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= 表具修復について =

 ここでは、ほとんどの種類の表具修復に当てはまる部分を取り上げて説明します。個々の表具に特有の修復作業については、各ページで詳しく解説します。

 表具修復では、修復の対象となるのは本紙だけで、それ以外の部分(裂地・軸先・下地・枠など)は廃棄処分となります。お客様からのご要望に応じて、本紙以外の部分を再利用することもありますが、新たに作り直すよりもコストがかかる場合が多いので、とくに理由がなければ、本紙以外は新品で作り直すことをお勧めしています。


= 表具修復の必要性 =

 表具作品は、お部屋を飾り、お客様をもてなしたり、その家に暮らす人の心にゆとりをもたらすといった目的を持って作られています。掛軸が折れていたり、額がシミだらけになっていては、その目的を果たすことができません。長い間大切に使われ、自然に色あせていったような古さは、作品の風格を増すと言えるでしょう。しかし、その限度を越えた汚れや傷みがあっては、作品本来の役目を果たせないばかりか、お部屋の品格を損なうことにもなります。表具は飾ってこそ価値を発揮するものです。長く、大切に使うために、気になる汚れや傷みがあれば、すぐにでも表具修理されることをお勧めします。


= 修復の手順 =

各表具に共通した、本紙の修復手順についてまとめました。

作業内容

作業の様子

1.鑑定

 ここで言う「鑑定」とは、表具に骨董品としての値段を付けるというような意味の鑑定ではなく、修復しようとする表具の現状を正確に把握し、どのように作業を進めるかといったことを検討する作業です。具体的には、写真を撮り、寸法を測り、本紙の状態を見極め、それらの情報を作業指示伝票に書き込んでいきます。

 右の写真は、掛軸の鑑定作業をしているところです。→

 「鑑定」という表現は、当社の現場で使われているもので、表装業界で一般的に使われる用語というわけではありません。

鑑定の様子

2.色止め

 修復をする本紙は、通常、制作されてから長い時間が経っていますから、絵具や墨が弱っています。それが作業の途中で色落ちしないように定着させる作業です。

 定着には、絵画などでも使われるスプレー式の定着剤、膠の水溶液にミョウバンを混ぜた「ドウサ液」、樹脂系の溶剤などを使います。

 写真では、和額の色止めをしています。→

ニカワによる印鑑の色止め

3.はがし

 色止めが終わると、本紙だけを切り抜き、表を下にして裏側の古い紙をはがします。まず、作業台に紙を敷き、その上に本紙を裏向きに乗せて霧吹きで水分を与え、刷毛で延ばします。

 十分に延ばしたところへ、さらに水を吹くか、静かにお湯をかけて糊の成分を溶かします。糊が弱くなったところで古い裏打の紙を慎重にはがします。

 写真は、衝立のはがしをしているところです。→
 黒い紙は、昔の修復で破れた箇所に当ててあったものです。

古い裏打ち紙のハガシ

4.補修

 はがし作業が終わると、穴のあいた部分には裏側から紙を当て、破れた箇所は紙を寄せて、破れ目がぴったり合うようにつなぎます。この工程が、修復の出来を左右します。

 右の写真は、掛軸の本紙を補修しているところです。半透明のアクリル板の上に本紙を乗せ、下から光を当てて、破れが見えやすいようにしています。→

裏側から光を当てた本紙

5.肌裏打ち

 はがし・補修が終わった本紙に、新しい紙で裏打をします。本紙に直接裏打する紙を肌裏(はだうら)といいます。

 写真は、掛軸の本紙に肌裏打をしているところです。→

肌裏打ち作業

6.洗浄

 洗浄の指示がある本紙は、肌裏打ちが終わった後、本紙を乾燥させてから洗浄作業に入ります。洗浄には過マンガン酸カリウムと亜硫酸水素ナトリウムの二種類の薬品を使います。

 洗浄用の、平らなスチールの桶に本紙を置き、不織布ではさんで保護します。洗浄が終わると、薬品を水で完全に洗い流してから乾燥させ、次の工程に進みます。

 写真は、額の本紙を洗浄しているところです。→

洗浄作業

7.修復完了

 はがし、補修、肌裏打ち、そして洗浄までが、修復作業の主な工程です。修復された本紙は、掛軸、和額、屏風などの作品として仕上げられていきます。

修復前の掛軸(天照皇大神)
修復後の掛軸
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